NIPPON DATA
2010

研究成果

NIPPON DATA2010は、全国から無作為抽出された300地区の国民を対象としており、日本国民を代表する集団のコホート研究に位置づけられています。2010年国民健康・栄養調査と同時に行われ、脳卒中、心筋梗塞、心不全など循環器病の予防方法を明らかにするための研究成果が順次公表されています。以下に、主な研究成果を紹介します。

1)等価平均支出と炭水化物摂取量:日本疫学会誌「Journal of Epidemiology」特集号(2018年3月5日発行)に掲載

NIPPON DATA2010対象者の方を男女別に等価平均支出(世帯の1ヶ月支出額 /世帯人数の平方根)で分類し、炭水化物摂取量(%kcal)との関連を検討しました。その結果、男女ともに等価平均支出が多いほど炭水化物摂取比量が少ないことが明らかとなりました。
安価なものでお腹を満たそうとすると、炭水化物に偏るのではないかと考えられます。

図1.等価平均支出と炭水化物摂取量との関連(NIPPON DATA2010、男女計)

2)社会的要因と高血圧有病:国際高血圧学会誌「Journal of Hypertension」2017年2 月号に掲載

NIPPON DATA2010対象者の方を社会的要因(就業の有無、教育歴、既婚・同居者の有無、等価月間家計支出)で分類し、高血圧有病(血圧140/90mmHg 以上または降圧剤服用者)との関連を検討しました。既婚群に比べ、独身かつ一人暮らしの人は高血圧有病リスクが1.76 倍高いことが明らかとなりました。
本分析結果から、独身かつ一人暮らしの人は、高血圧予防のための生活習慣に注意する必要があると考えられます。

図2. 社会的要因と高血圧有病との関連(NIPPON DATA2010、男女計)

3)循環器疾患の危険因子の認知度:「日本循環器病予防学会誌」2016 年 11 月号に掲載

NIPPON DATA2010ベースライン調査で実施した「心筋梗塞または脳卒中の原因として正しいと思うもの」を選択する自記式質問調査結果を分析しました。その結果、高血圧を循環器疾患の危険因子であると認知していた国民は8割を超えていましたが、喫煙を循環器疾患の危険因子であると認知していた割合は 6 割、糖尿病、HDL コレステロール低値、不整脈は5割未満と低い結果でした。
日本では長年、高血圧を中心とした循環器疾患予防が行われ、国民の血圧水準は年々低下し、循環器疾患(特に脳卒中)死亡率も減少してきました。今後は、高血圧だけでなく、糖尿病、喫煙など、その他の危険因子の認知度も高め、個人個人が予防に努めていくことが重要と考えられます。

図3. 循環器疾患の危険因子の認知度(NIPPON DATA2010、男女計)

「心筋梗塞または脳卒中の原因として正しいと思うもの」を選択する質問調査を実施した。

上記の他、NIPPON DATA2010の研究成果は多くの学術雑誌に掲載されています。